Mobil Glygoyle™ Series (モービル グライゴイル シリーズ)
Mobil industrial , Japan
製品の概要
Mobil Glygoyle™ シリーズは、ギア、軸受、圧縮機油等で優れた効率性、オイル寿命の延長、設備の保護を実現する高性能潤滑油です。このポリアルキレングリコール(PAG)系合成潤滑油は、他の合成潤滑油や鉱油の限界を超える稼働条件下で使用するよう開発されました。本製品は流動点が低いため、低温流動性に優れています。ISO のグレードが 150~1000 の製品は NSF H1 に登録されている潤滑油であり、米国食品医薬品局 (FDA) が制定した、偶発的な食品接触がある潤滑油のための規定である 21 CFR 178.3570 にも準拠しています。
- 重要な設備機器を保護するための優れた極圧性および耐摩耗性
- 傷つきやすいギアシステムに対する高レベルのマイクロピッチング保護性能
- 優れた防錆性、腐食防止性
- 泡の付着に対する耐性
- 合成油本来の優れた潤滑性
- エネルギー効率の向上とバルク油/油系統温度の低減を実現する低トラクション係数
- スラッジの生成と堆積物を低減する非常に優れた熱安定性と酸化安定性
Mobil Glygoyle シリーズは、FDA 21 CFR 178.3570 の制限に従って使用される限り、食品中の MOAH 含有量に影響することはありません。
製品の特長と利益
Mobil Glygoyle シリーズの合成油は、ギアや炭化水素ガス圧縮機用途において、鉱物潤滑油や PAO 系合成潤滑油よりも優れた性能を発揮するように特別に設計されています。ウォームギアでは、このオイル独自の特長により減速機の伝達トルクが増し、運転中の油温を下げられるため、多くの場合、シール材、オイル、ギアボックスの寿命が延びます。ガス圧縮機では、Mobil Glygoyle シリーズは炭化水素の溶解性が低いため、潤滑油の希釈が抑えられ、装置の保護性能が向上します。
他の鉱物潤滑油、合成潤滑油、および PAG 系潤滑油と特長を以下に比較します。
全般:PAG 系基油には様々なタイプがあります。こうしたオイルそれぞれの特性は、製造に使用される原材料やプロセスによって異なります。各種 PAG 系オイルにより異なる特長としては、トラクション係数(エネルギー効率)、熱伝導性、炭化水素オイルとの溶解性、親水性、低温特性などがあります。
高効率:ExxonMobil の研究者は、鉱油、PAO 系油、他の PAG 油と比較して高レベルのエネルギー効率を発揮する PAG 基油を選択しました。これに加え、鉱油や PAO 系油よりも約 10% 高い熱伝導性を実現することにより、運転温度を抑えて部品の寿命を延ばすことができます。
広い温度範囲:Mobil Glygoyle シリーズは、 ISO 68 の 170 から ISO 1000 の 285 までの非常に高い粘度指数を備えています。これにより、鉱物潤滑油や PAO 系潤滑油より幅広い運転温度に対応できます。
防錆性:PAG 系潤滑油は炭化水素系オイルと混合しされないように設計されており、鉱物油や PAO 系潤滑油よりも水を吸収しやすい傾向があります。オイルに含まれる水分レベルが高まる可能性があるため、設備に錆が発生しないよう注意する必要があります。 Mobil Glygoyle シリーズは、ASTM D665A や Bethlehem Steel 防錆試験パート A/B など代表的な防錆試験に合格しており、蒸留水による DIN 51802 Emcor 防錆試験で 0,0 という評価を得ています。さらに、ASTM D130 試験のレーティングは 1B であり、マンツ合金との優れた適合性も示しています。塩水の混入が想定される場所で、Mobil Glygoyle シリーズを使用することは推奨されません。
整泡:特に、「永久潤滑」のボックスの場合、整泡は重要です。Mobil Glygoyle シリーズは、ASTM D892 消泡性試験の3つのシーケンスすべてにおいて素晴らしい結果を得ています。
極圧性と耐摩耗性:極圧剤と摩耗防止剤の組み合わせが適切であることが、特に青銅および他のマンツ合金類を含むウォームギアでは特に重要です。Mobil Glygoyle シリーズは、DIN 51354-2 FZG スカッフィング試験で優れた極圧性/耐摩耗性を示す 12+ を得ており、DIN 51819-3 FAG FE8 試験ではケージとローラーの摩耗が非常に低いことを示しています。また、FVA 54 マイクロピッチング試験(ISO 320)では、10 を超える優れたマイクロピッチング保護性能を示しています。
特長 |
長所と期待できるメリット |
優れた熱安定性と酸化安定性、優れた耐摩耗性 |
過酷な荷重係数条件下でも優れたギアの保護性能を発揮 潤滑油寿命の延長による生産能力の向上、定期的なオイル交換のための計画的なダウンタイムと予期せぬダウンタイムの低減 メンテナンス費用と交換費用を削減 |
低い摩擦係数とトラクション係数 |
ギア効率を向上し、油温を下げ、稼働(電力)コストを削減するとともに、シール材の寿命を延長 |
高い熱伝導性 |
放熱性を向上させることで、ギア噛み合い部や運転中のバルク温度を低下 |
高粘度指数、低流動点、ワックスフリー |
優れた低温流動性により、装置の始動が簡素化(遠隔装置の稼働では特に重要) |
優れた耐腐食性と防錆性 |
ダウンタイム中でも装置をしっかり保護して寿命を延ばし、スムーズな始動性をもたらし、関連する人件費や材料費を節約 |
様々な工業設備への適応性 |
製品使用数の削減により在庫費用を低減 |
用途
Mobil Glygoyle シリーズは、特に高荷重の過酷な用途で使用されるウォームギアの潤滑向けに設計された製品であり、食品用だけでなく食品以外の用途にも適しています。また、本製品群は、厳しい条件下で稼働する様々な種類の工業用ギアと軸受の摩擦低減のための優れた潤滑油であることも立証されています。さらに、炭化水素の混和性が低いため、炭化水素系圧縮機油と比較して、この用途で使用した場合でも発生するもガスの希釈による粘度低下が少なく、この低粘度グレード製品は炭化水素ガス圧縮機用途で特に効果的です。
Mobil Glygoyle シリーズは、永久充填式ギアボックスや、高荷重のウォームギア、幅広い用途で使用されるその他の工業用ギア、すべり軸受、ころがり軸受の潤滑や、ほとんどの圧縮機にもご使用頂けます。
具体的な用途は以下の通りです。
• 永久充填式ギアボックス、特に高ギア比/低効率のウォームギア
• コンベヤー、エスカレーター、資材運搬用機械、プレス機駆動装置、梱包用機械、スキーリフト、攪拌機、ミキサーなどに使用されるウォームギア用途
• セメント、金属加工、プラスチック、食品、繊維加工などの産業で使用されるその他のギアと軸受用途
• レシプロケーション、ロータリー、スクリュー、遠心型のガス圧縮機で、作動条件が他の合成潤滑油や鉱油の潤滑能力を超える場合
使用上の注意
ポリアルキレングリコール(PAG)系潤滑油には、PAG 基油特有の優れた潤滑特性があります。ただし、PAG 系潤滑油には、シール材、塗料、一部の軽合金や他の潤滑油との適合性に関する制限があります。PAG 潤滑油を適用する前には、機器メーカーに連絡し、使用に関する特別な指示があるかどうかを確認してください。
他の潤滑油との適合性について
Mobil Glygoyle シリーズは、鉱油やその他ほとんどの合成潤滑油と適合性がありません。また、PAG 基油の種類によっては、その他のPAG 系潤滑油と適合性がない場合もあります(例:Mobil Glygoyle No シリーズと Mobil Glygoyle ISO VG シリーズは混和しません)。一般的に、Mobil Glygoyle シリーズは、従来鉱油または PAO 系合成潤滑油が充填されていたされたシステムでの使用には推奨されません。さらに、現在充填されている PAG 潤滑油に Mobil Glygoyleシリーズを補充する、またはそれと交換する場合には、適合性を確認することをお勧めします。一般的には、排水、洗浄、補充により、これらの製品の混合を避けることが推奨されます。
鉱油またはその他の合成製品から Mobil Glygoyle シリーズに変更する場合は、変更前にシステムを十分に洗浄し、適切な洗浄液で洗い流すことが重要です。詳細については、ExxonMobil の担当者にお問い合わせください。
水分について
Mobil Glygoyle シリーズは、あらゆる PAG 系潤滑油同様に吸湿性があり、鉱油や合成炭化水素よりも多くの水分を吸収します。したがって、PAG 油を過度の水分にさらさないように十分に注意する必要があります。本製品は比重が高いため、水分はタンクの底に溜まらず潤滑油の上面に留まります。
シール材の適合性について
PAG 系潤滑油は、鉱油または合成炭化水素に使用されるほとんどの標準的なシール材との適合性がありません。適合性のない材料は収縮または膨張する傾向があるため、深刻なシール材からの漏れや焼き付きが生じることがあります。鉱油や合成炭化水素から Mobil Glygoyle シリーズに変更する場合には、シール材との適合性を考慮する必要があります。通常、FKM と VMQ は PAG との併用に適しています。 NBR 材を使用することもできますが、使用温度範囲に制限があります。いかなる場合でも、メーカーによって運転条件やエラストマー特性が異なることを考慮する必要があります。最善の結果を得るためにも、機械メーカーやシールメーカーに具体的な推奨事項を確認してください。
軽金属合金について
Mobil Glygoyle シリーズや PAG 潤滑油は、鉄鋼材やほとんどの非鉄鋼材のギア用途に適しています。ただし、Mobil Glygoyle シリーズと PAG 潤滑油は、アルミニウムまたはマグネシウムを含む軽金属合金との併用には推奨されていません。 PAG 潤滑油をこの種の軽金属合金とともに使用すると、摩耗の増大につながることがあります。詳細については、機械メーカーにお問い合わせください。
その他の材料について
一部の塗料、コーティング剤、プラスチックは、PAG 潤滑油との併用に適していません。一般的に、二液型塗料(反応塗料、エポキシ樹脂)が、潤滑油と接触する内部塗装としての使用に適しています。それ以外の場合は、潤滑油と接触する内部塗装は行わないでください。油面計、点検口などには、天然ガラスやポリアミド製の材料を使用することをお勧めします。その他の透明プラスチック(例:プレキシガラス)は負荷を受けると劣化し、ひび割れする可能性があります。
規格および承認
この製品は次の承認を得ています: |
100 |
150 |
220 |
320 |
460 |
680 |
1000 |
SEW-Eurodrive |
|
|
X |
|
|
|
|
この製品は、以下の要求がある用途での使用に推奨されます: |
100 |
150 |
220 |
320 |
460 |
680 |
1000 |
Fives Cincinnati P-39 |
|
|
X |
|
X |
|
|
この製品は、以下の規格に登録されています: |
100 |
150 |
220 |
320 |
460 |
680 |
1000 |
NSF H1 |
|
X |
X |
X |
X |
X |
X |
この製品は次の承認を得ています: |
100 |
150 |
220 |
320 |
460 |
680 |
1000 |
DIN 51517-3:2018-09 |
X |
X |
X |
X |
X |
X |
|
FDA 21 CFR 178.3570 |
|
X |
X |
X |
X |
X |
X |
ISO L-CKPG (ISO 12925-1:2024) |
X |
X |
X |
X |
X |
X |
X |
製品の特性と仕様
代表性状 |
68 |
100 |
150 |
220 |
320 |
460 |
680 |
1000 |
グレード |
ISO VG 68 |
ISO VG 100 |
ISO VG 150 |
ISO VG 220 |
ISO VG 320 |
ISO VG 460 |
ISO VG 680 |
ISO VG 1000 |
銅板腐食、24時間、100℃、レーティング、ASTMD130 |
1B |
1B |
1B |
1B |
1B |
1B |
1B |
1B |
密度@ 15.6℃、 g/cm3、ASTM D4052 |
1.079 |
1.079 |
1.078 |
1.077 |
1.077 |
1.076 |
1.076 |
1.076 |
FZG スカッフィング試験、損傷ステージ、A/8.3/90、ISO 14635-1 |
10 |
12+ |
12+ |
12+ |
12+ |
12+ |
12+ |
12+ |
引火点、クリーブランド開放式試験、℃、ASTM D92 |
265 |
265 |
265 |
265 |
265 |
265 |
265 |
260 |
四球摩擦試験、摩耗痕径、20kg、1800rpm、1h、54℃、mm、ASTM D4172 |
0.4 |
0.4 |
0.4 |
0.4 |
0.4 |
0.4 |
0.4 |
0.4 |
動粘度@ 100℃、mm2/s、ASTM D445 |
11.8 |
17.3 |
26.1 |
38.1 |
55.2 |
77.2 |
112 |
165 |
動粘度@40℃、mm2/s、ASTM D445 |
68 |
100 |
150 |
220 |
320 |
460 |
680 |
1000 |
流動点、℃、ASTM D97 |
-30 |
-30 |
-33 |
-33 |
-33 |
-33 |
-33 |
-33 |
さび止め性、A法、ASTM D665 |
合格 |
合格 |
合格 |
合格 |
合格 |
合格 |
合格 |
合格 |
粘度指数、ASTM D2270 |
170 |
190 |
210 |
225 |
240 |
250 |
265 |
285 |
健康と安全
本製品の健康と安全に関する推奨事項については、http://www.msds.exxonmobil.com/psims/psims.aspxにある製品安全データシート(SDS)をご覧ください。
本書で使用されているすべての商標は、その他の記載がない限り、Exxon Mobil Corporationまたは同社の子会社の商標または登録商標です。
07-2024